60’sホールについて
奥に向かって2階段に上昇してゆく床面と、重工な梁(はり)の架かる左右の広い壁面とが、独自の緊張感に溢れた空間を生み出しています。そして頂部の各所から降り注ぐ間接光が2・3階吹き抜けの大空間の表情を刻々と変化させていきます。このホールの設計に携わった60年代前半の磯崎の前衛的な思想を象徴するものだといえます。
ここは1960年代前半に活動した前衛芸術家グループ「ネオ・ダダ」を中心とする現代美術の作品を常設展示します。
現在開催中の企画展
ダダ・リバイバル
1910年代に起こったダダイスム(以下、ダダ)という芸術運動は、芸術や文学、音楽などの広い領域で革新的なアプローチを追求し、反芸術、不合理を標榜します。ダダは一旦シュルレアリスムへと発展的解消を遂げますが、発生の背景には第一次世界大戦という大きな社会不安がありました。そして、第二次世界大戦後の50年代、復興の一方で冷戦や核兵器開発競争など国際情勢の緊張状態に陥り美術分野でダダが再燃します。
ダダは美術においては、既製の日用品や廃品の使用、偶然で無秩序なコラージュ等、偶発性を重んじ、既存の芸術様式に反発する特徴を持ちます。一方、新たなダダは、ダダの時代より工業化し、大量生産・消費を目的とした製品を用い、新品を廃品のように加工する傾向があります。
また、既製品を組み合わせて偶発的に作品を生み出し、偶然に発生する要素を取り入れたパフォーマンスアートを披露してダダの思想を展開させます。この傾向はアメリカにおいてはネオ・ダダ、フランスやドイツを中心としたヨーロッパ大陸ではヌーヴォー・レアリスムと呼ばれ、同時代に活性化します。我が国では、この傾向を持つ作品が多数出品された無審査・無賞のアンデパンダン展を素地に、ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズが結成されました。
本展では、50年代以降にリバイバルしたダダ的思想を持つ日米の作家の作品を紹介します。
「ダダ・リバイバル」開催概要
会期:2023年9月30日~2026年3月31日(最長)
観覧時間:午前9時~午後10時
休館日:年末年始(12月28日~1月3日)のみ
観覧料:無料
会場:アートプラザ2F60’sホール
展示リスト:アートプラザ常設展「磯崎新のデザイン術」「ダダ・リバイバル」作品リスト